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プリント基板(p板)コストダウンへの11のポイント | 格安で安全製造へのチェック

pcb試作・量産にかかわらず、プリント基板(p板)の製造についてはほとんどの方が業者に依頼されることだと思われます。
使い慣れた業者であればお互いの呼吸もわかっているため、いつもの調子で電話1本で簡単に仕様を伝え発注まで進めることができますが、コスト競争が激しい最近では、コストダウンのために、業者の見直しをされることも少なくないと思われます。

そんなとき、発注前に下記の11ポイントをあらかじめ抑えておくだけで、基板(p板)業者の確認事項は激減し、コストダウンかつ安全な製造へとつながります。

発注前の11のポイント

1.回路図はPDFを用意する

回路図はアートワーク設計時に必須な項目の一つで各部品シンボルとナンバーが正確に対応し部品表との整合も取れていること、確実に結線がされていることが重要です。
お客様が書かれた回路図エディタのソースデータを頂いても、同じ回路図エディタを業者が持っている確率は低く、まず役に立ちません。
また同じ回路図エディタを持っていても、バージョン違いなどによって開くことができない、正確に表示されないことなどもありますし、印刷設定もその都度する必要があったりするため作業に手間が掛かってしまいます。
そのため、どのパソコンでも確認することができるPDFファイルを用意するのがベストです。
また、回路図エディタからネットリストの出力が可能な場合は、ネットリストにより業者で入力の手間が省けコストダウンにつながります。
ネットリストが可能な場合には、ネットリストの形式等も明示するとより確実となります。

2.基板(p板)外形図

基板(p板)むき出しで使われたり、試作で特に筐体を意識しないもので、特定の形を必要としないものであれば、おおよそのサイズを指定することで問題ありません。
しかし、筐体内に収めるものであれば、基板(p板)外形図は必ず必要です。
多くの方が、この基板(p板)外形図を忘れることが多いので、必ず発注前にもう一度チェックします。
また、基板(p板)外形図も回路図と同様、CADのソースデータでは何かと不都合が多いためDXF形式の提出がベストでより確実となります。
大体のCADではDXFの出力が可能ですが不可の場合はPDFで提出すればよいでしょう。

●基板(p板)外形図サンプル
基板外形図サンプル

3.部品表

回路図で使用されている部品のロケーションナンバーや型式、メーカー、使用個数などの詳細情報が必要です。
設計では、部品表を元に実際の部品形状を調査しながらCADデータに置き換えていきます。
部品ロケーションナンバーは、必ず回路図と部品表で整合が取れていなければなりません。
一般的な部品であれば、メーカ・型式により部品外形図やピン配置図などを入手できるため、業者側まかせで問題ありません。
しかし、海外製部品や特殊部品など、外形図が入手困難な部品については、必ず部品外形図や詳細仕様書が必要です。
エクセルかPDFデータで支給するのがベストです。

4.禁止領域の指定

業者側では、平面の基板(p板)外形図と回路図からだけパターン設計を行います。
そのため、基板(p板)以外に使用する部品がある場合や筐体の凹凸などがわかりません。
筐体の状況も、基板(p板)以外に使用する部品の使用状況もわからない業者への発注は、絶対に部品やパターンを配置して欲しくない「禁止領域」をあらかじめ指定する必要があります。
「禁止領域」を指定するには、基板(p板)外形図に禁止領域を斜線等で明示しなくてはいけません。
また、「禁止領域」は、他の部品や筐体との干渉、筐体の凹凸によるショートも回避しなくてはいけないため、部品配置が無い面についても正確に指示する必要があります。

5.高さ制限領域

部品にはそれぞれ高さがあります。
そのため、筐体との隙間距離の指示がないと無造作に部品を配置してしまい、筐体に収まらない基板(p板)が完成してしまいます。
これは、前述の、禁止領域と同じことです。
この項目は、ついつい見逃してしまいがちな落とし穴的な部分なので注意をします。

6.位置指定

コネクタやスイッチ、ボリューム、LEDなど表示、接続、操作系部品は、筐体との関係上、基板(p板)業者が勝手に配置できる部品ではありません。
これは、基板(p板)外形図の中において、モレが無いか?寸法違いが無いかをしっかり確認しておく必要があります。

7.配置方向指定

コネクタなどピン番が指定されている部品、方向や極性が決まっている部品はどの方向に配置すればよいかを指示しなくてはなりません。

8.基板(p板)仕様指定

基板(p板)の見積・製造をするために必要な基本仕様として、必ず下記の項目を指定する必要があります。
①層数 ②基材の種類 ③板厚 ④銅箔厚 ⑤シルクの有無と数 ⑥レジストの有無と数 ⑦仕上げの処理
⑧機種数 ⑨面付けの有無 ⑩どれだけの作業が必要か(例.設計から実装まで/基板(p板)作製のみ/設計のみでガーバー納品まで…など)

9.トータル作製数

1種類だけの基板(p板)の作製であれば、定尺から割り出せる経済ロットなど簡単ですが、複数種ある場合は、面付けによっては思った以上に安く製造できる場合が起こります。
また、基板(p板)種やその他のファクターによって、基板(p板)工場の得意不得意もあり、大きく価格に影響してきます。
まずは作製したいトータル枚数から、業者としっかり適切でお徳な枚数を求めることが必要です。

10.使用期間

その基板(p板)を単発で使用するのか、それとも何年にもわたって使用されるのかによって、使う工場や方法が変わります。
ネット上で発注できる基板(p板)業者の場合、リピート指定などもできますが、期間が開いたりした場合のリピートは、また最初からの注文指定をしなければいけなかったりします。
基板(p板)業者に発注した場合、この使用期間によって、版の保管など最適な工場を選定します。

11.リピート時の発注数

試作レベルでは場合にもよりますが、リピート時でも10枚や20枚なら数はあまり気にする必要はありません。
しかし、量産レベルでは話が変わってきます。
どれくらいの間隔で何枚作製しどれくらいの期間継続するのかある程度でも見通しができるとお見積もり以降の段取りがスムースに行えます。

ポイントのまとめ

近頃、ネットによって簡単に発注できる業者が多くなりました。
上記の11点について、発注側でしっかり認識できている場合にはネット業者を利用して問題はあまり発生しませんが、一つでも間違えたりすると、結局使えない基板(p板)を作ってしまうことになります。
また、ネット業者の多くは、複数の注文を、一つの版にスポットに割り当て、できるだけ多くの種類をつくりコストダウンを図ったり、海外の安い工場を使ったりします。
そのため、ほとんど全てが単発物であるため、長期継続に向かないことが多いのです。
まして、何年にもわたる長期リピートについては、版をしっかり長期保管しなくてはいけないため、信頼でき、コントロール可能な工場を複数社もっている設計業者に依頼することをお勧めします。

基板(p板)納期の考え方と時間の注意点

工場によりガーバーデーターの受付時間は異なりますが、そのほとんどが午前中の何時かまでにガーバーデーターを支給しないとその当日が作製実働日数にはカウントされません。(工場によっては前日中までに支給する必要がある所もあります。)
従いましてデーター支給が1時間遅れる事により実働日は余分に1日かかる事もありますので社内設計では、
データーが何時頃に出来上がり、何時に工場手配できるかも把握しないと購入納期によっては不必要な特急費用が発生します。

当社の例、標準基板(p板)納期と特急品扱いの実働日数

基板作製日数

AM10:00までにデータ支給頂いた場合はその当日も日数に含まれます。
金メッキなどの仕様によっては1~2日が上記日数に加算されますので注意が必要です。

試作時でも多品種の場合はセットで同時手配

試作時などでも多品種の場合、仕様が同じであればセットにて同時に手配することでコストダウンが可能です。
基板(p板)工場では同じワークでセットとして製作できますので個別に作るよりは安く出来る事が多いのです。
但し、基板(p板)のリピート時にも同じセット内容にて不要な機種まで全てセットで作られてしまいますので注意が必要です。

通常の単機種毎に作製する場合

通常単機種作製

複数機種をセットにて作製する場合

複数機種のセット作製

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