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従来から受け継がれた方式から、近年のメカトロニクスまで、モジュール化を含んだ最新の機械設計の勘どころをご紹介します。

   

射出成形品の不良原因

射出成形加工に関しては、以前の記事でも書きましたが今回は成形品に関して纏めることにします。

外観の不良

射出成形は金型を用いて加工する手法です。同じ形状の製品や部品を造るうえで最も量産性にとんだ加工法と言えます。それだけに成形品の良否を決定する金型構造には十分な配慮が必要です。

射出成型品の不良としては様々な項目がありますが、その代表的なものを以下に示します。

  • フローマーク
  • ウェルドライン
  • 白化
  • ひけ
  • ボイド

上記は代表的な項目です。他にも様々な項目がありますが、それらについては後々記述していきたいと思います。

最近あった事例の不良現象と対策。

【不良内容】
ウェルドラインの発生

【成形品の内容】
部品名・・・・・・専用コネクター
金型構造・・・・・金属ピンインサートあり
材質  ・・・・・ABS-V0ウェルドライン

 

【不良品現象】
今回の成形品は某大手無線機メーカーからの依頼により金型の設計から成形量産まで仕事です。通常の成形品とは違い、この部品には金属のピンを
11本インサート仕込むインサート成形です。バリや白化、ひけなどの成形不良は出なかったのですが、インサート成形であったため、インサートした
ピンの周辺に少し強めのウェルドラインが発生しました。機能上問題となるほどのものではないのですが、外観に与える影響はどうしても否めません。
もともと、ウェルドラインは樹脂を重点する際、その流路上の障害物(今回の場合は金属ピン)に樹脂が衝突分離し、再度合流する際に樹脂温度が下
がっているため発生する現象です。特に今回は狭い範囲で金属ピンのインサートをしなければなりませんでしたので、金属ピンにより樹脂の温度が奪
われ、再融合時の温度が下がり強いウェルドラインが発生したようです。このウェルドラインの発生はある程度であれば成形条件の変更で対応可能で
すが、流動する樹脂の温度を極端に奪ってしますような場合は成形条件のみでは対応できません。まさしく今回の状況はそれに当たります。

【対策】
細い線条の傷のようなウェルドラインは基本的に、完全に取り除くことはできません。
成形温度や射出速度などの条件を調整すれば人間の目に見えない外観上のウェルドラインは取り除き事が出来ます。しかし、負荷応力の厳しい機能性
部品を成形するときは、以前の記事「射出成型加工」で書いたように部品形状の設計に十分注意が必要です。

今回は負荷応力が問題となるような部品ではなかったので、外観上見えるウェルドラインの解消を主眼に置き対応をしました。
本来はインサートピンのインサートピッチを広げるか本数を減らすことでウェルドラインの発生強度を抑えたかったのですが、コネクターと言う製品の
性質上それができませんでしたので、インサートピンの周辺を部分的に「シボ加工」することで目立たなくする対処療法としました。

 

 

 

「シボ加工前」                         「シボ加工後」

 

 

 

 

 

 

 - 加工技術