意外に迷うモーターの選定 | 用途に応じたモーターの選び方
一口にモーターと言っても、その構造や種類は様々です。軸が回転する構造の物だけがモーターではありませんし、電気を使うものだけがモーターと言うわけでもありません。そんな沢山の種類の中から自分の造る機械や装置に最適なモーターを選定するにはどうしたら良いのでしょうか?
今回はモーターの種類や特徴・構造をメーカーのカタログや技術資料を参照しながら、それぞれの機械や装置にあったモーター最適選定のポイントを紹介していきます。
モーターの種類や特徴・構造
駆動源の違いによる種別
- 電気を駆動源にするモーター
①.交流電源モーター(ACモーター)
②.直流電源モーター(DCモーター)
③.超音波モーター
④.磁力モーター (リニアモーター) - 圧縮空気を動力源にするモーター
①.エアーモーター - オイルなど液体を動力源にするモーター
①.油圧モーター
モーターの構造と特徴
回転運動をするモーターがほとんどです。装置や機械にもっとも多く使われているモータで、永久磁石やコイルに電流を流すことにより回転軸を回転させる構造のモーターです。中には、ある一定の角度をステップ移動する「ステッピングモーター」と呼ばれるモーターもあります。また、現代ではサーボ技術が発達してきており、これらのサーボ技術と組み合わせて高精度位置決め用途に使われるモーター(サーボモーター)もあります。特徴としては直径数ミリの超小型のモーターから直径数メータの超大型モータまで豊富なサイズがラインアップされていますので、選定の幅が広範囲です。もう一つ、一般的な構造のモーターの特徴としては、回転している状態で電流の印加をやめると、その構造上発電機の役目をします。今はやりのハイブリットカーなどはこの逆起電力を電池に戻して充電する構造になっています。
- 超音波モーター、リニアモーター
主に直線運動するモータです。AC,DCモーターの様に回転力を直線運動に変換するには、モータの他にベルトやチェーンなどの機械要素や構造が必要になります。このモーターはそのような機構系を必要とせずダイレクトに直線運動を得られます。構造的には超音波を利用するモーターと磁気回路を利用するモーターがあります。超音波モータの最大の特徴は、その構造から磁場をつくったり、磁場に影響を与えたりしないことです。MRI(磁気共鳴画像装置)など高磁場の環境下でも影響を与えません。超電導コイルと磁石の組合せで構成されています。S極とN極とが交互に配置され、超電導コイルに電療を流すことにより、磁石の引っ張り合いや反発力によって直線的に動きます。
モーターの選定
動作に応じたモーターの選定
様々な目的に応じて機械や装置は開発設計されます。その動きも、単純なものから多軸ロボットのように複雑な動きをするものまで色々あります。モーターの選定もそれらの目的に応じて最適なモーターを選定しないと目的とする性能を発揮することはできません。ここでは動きをつかさどる駆動機構に応じたモーターの選定ポイントを解説します。
・ポイント1 駆動機構の決定と条件出し
はじめに駆動機構を決定します。単純な回転体をはじめ、カム機構、ボールねじ、ベルト駆動、ラック・ピニオンなどがあります。負荷計算に必要な以下の条件を整理します。
- ・搬送物の質量
・各部品の質量
・しゅう動部の摩擦係数
ポイント2 装置仕様の条件確認
装置仕様からモーターへの要求仕様を確認します。
・運転速度および運転時間
・位置決め距離と時間
・分解能
・停止精度
・位置の保持
・電源電圧および周波数
・使用環境
ポイント3 機構の負荷計算
モーター出力軸換算で必要な諸元を計算します。
・負荷トルクの計算
・慣性モーメントの計算
<回転体の慣性モーメント>
<直線運動の慣性モーメント>
<減速機を介した機構の慣性モーメント>
ポイント4 モーターの種類を選定
動作要求にマッチするモーターの種類を選定します。
・DCまたはAC小型標準モーター
・ステッピングモーター
・ACサーボモーター
・超音波、リニアモーター
<ポイント5 モーターの諸元を決定(選定計算)>
モーターの種類により計算する項目が異ります。詳細はオリエンタルモーター技術資料モーター選定計算式と選定のポイントを参照願います。
まとめ
現在のモーターは多種多様の機構に対応できるように、色々な構造のモーターがあり、また、モーターの周辺装置を上手に組み合わせてモーターモジュールも存在します。昔は機構を設計し、モーターを選定してきましたが、今はそのようなモジュールを使うことで簡単に設計できるようになりました。性能やコストを考えた場合モジュール化されたモーターを使用することは設計手法の一つです。