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従来から受け継がれた方式から、近年のメカトロニクスまで、モジュール化を含んだ最新の機械設計の勘どころをご紹介します。

   

機械設計製図 意外な盲点 | 経済的な許容差と安全重視の許容差設定

許容差

部品設計をする上で必要な項目の一つに「寸法公差を設定する」という項目があります。この「公差」は部品の製造過程でとても重要な要素で、コストや品質にも影響を与えかねません。しかし、多くの設計現場ではこの公差を決めるのに適切な計算・検討を行わず、過去の設計の値をそのまま使用したり勘や経験をもとに決めている場合が多く見受けられます。

公差幅の決め方

機械や装置はいくつかの部品を見合わせて成り立っています。個々の部品レベルでは形状・寸法それぞれが合格しているとしても、組合されたときに本当に設計通りに出来上がるか?は不明です。例えば下図のように4つの部品が組合される時を考えてみます。

A,B,Cの3つの部品が、コの字型の部品に嵌るとき、A,B,Cのそれぞれも部品にはどんな公差幅を与えるべきでしょうか?考え方を示していきたいと思います。

組合せ

まず、部品加工では必ず寸法にばらつきが出るという事を念頭に置き公差幅の設定をします。

最大/最小許容差法(ワーストケース法)

この考え方は、関連する公差の最大/最小許容差の累積を計算し、組立不能という品質不具合が発生しなように公差の設定をする方法です。特に自動車関連、航空機、医療機器などの不具合が発生した場合重大なインシデントをもたらす製品を製造するときに用いられる方法です。

上図で、A=10±0.1、B=10±0.2、C=10±0.3としたとき、A~Cの組合せ公差幅(T)は・・・・

親寸法(10+10+10)±公差幅(0.1+0.2+0.3)=30±0.6となる。つまりコの字型の受け部品の内寸は最低でも30.61以上ないと組合せができないことになる。

RSS(平均二乗法)

この方法の考え方は「発生するばらつきは正規分布する」との統計学的な考え方により、最悪の組合せが発生する確率は分布幅を±3σとしたとき、無視できるものと評価し、ワーストケースよりも緩い公差を設定できます。

ワーストケースと同様に、A=10±0.1、B=10±0.2、C=10±0.3としたとき、A~Cの組合せ公差幅(T)は・・・・

親寸法は30、公差幅は±√(0.1)+(0.2)+(0.3)=±0.37となります。
公差幅はワーストケース法の計算結果よりもさらに小さくなります。つまり、部品A,B,Cのそもそもの公差をさらにゆるめてもワーストケース法の結果と同じ結果を導き出せるという事になります。

まとめ

2つの考え方のどちらを選択するかはその部品がどのような製品に使われるかで変わってきます。
一般的に、人の命に係る重大な特性の公差幅を検討するときは「ワーストケース法」、人の命に係りの少ない特性の公差幅を検討するときは「Rss(平均二乗法)」を選択します。公差幅の設定はコスや品質に大きく影響しますから十分見当が必要です。現在では3D CADの「SOLIDWORKS」で許容差解析をすることも可能になっています。

 

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