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機械設計者 知っておきたい技術 | 射出成型加工

射出成形加工編

成形加工にも様々な種類の加工法があります。鉄やアルミなどを主材料として成形する鋳造やダイカト、エンジニアリングプラスチックを主材料とする射出成型やブロー成形、真空注型成形などがありますが今回は現代で最も多く使われているプラスチックの射出成形(Injection  Molding)部品の設計のポイントを紹介します。

射出成型機の構造

ペレット状のプラスチック材料をホッパーで高温溶解(約200℃)し、金型内の流し込むことにより目的の形状を造り上げる加工方法です。

部品設計のポイント

プラスチックの熱変形を考慮する

プラスチックは金属に比べ熱による寸法変化率が10倍程度あります。使用される環境によっては、大きな寸法変化がありますから製品の性能を大きく左右することになるので熱変形を十分考慮する必要があます。特にバイメタル構造にした場合プラスチック部品の破損が考えられますので、組合せ構造を十分に検討しなくてはなりません。
(因みに金属の線膨張係数は8~12×10-6/Kでプラスチックの線膨張係数は5~12×10-5/K)

部品形状を十分検討する

溶解したプラスチックを金型内に流し込んで成形しますから、なるべく流れやすい形状にすることが必要です。特に急激な寸法の変化や肉厚の変化などは成形後の形状寸法に大きな影響を与えます。複雑な形状の場合はあらかじめ流動解析等を行います。成形用の金型を設計する上でも重要なファクターで、部品形状の良し悪しで、金型の製作コストが大きく変わります。金型の構造はシンプルなほどよく、できれば2面の金型で部品が成形できるように形状を考えます。下図は形状設計の参考例です。

右図の様な突起を金型で成形しようとした場合、金型は上下の2面だけでは形状を造ることができません。鍵状部は上下の金型の他に部分的な型を造り横方向にすスライドさせて形作らなくてはなりません。

金型形状

しかし、鍵状の底部に穴をあけることに金型は上下の2面だけで可能となります。これを「押切り」と呼びます。

金型形状

この様に形状を工夫することで金型製作などを下げることが可能となります。

設計ミスを起こしやすい箇所

成形品の肉厚はあくまでも均一なことが原則であって、不均一な肉厚があると、そり、曲り、ねじれ等の原因にもつながる。そのような不良を避けるためには形状の極端な変化をさせないことである。

成形品の肉厚

樹脂成形の特長的な技法に「スナップフィット」という組立性を向上させる形状があります。樹脂の弾力性を利用したものですが、むやみに形状を造ると本来の性能を発揮しなくなり簡単に折れてしまったり、保持力がなかったりして部品不良となります。以下にスナップフィットを設計するときのポイントを記述します。

①結晶性のプラスチックの様にクリープ特性が悪い場合は、組立時の歪(ε)は12%程度にする。
②剛性の高いクリープ特性が良いプラスチックでは組立時の歪(ε)は8%程度にする。
③下図に寸法関係の基準を示す。

スナップフィット

樹脂部品に直接タップ加工して他の部品を取り付けることは、金属部品のそれよりも締結力の面で劣ります。ねじ部に強度を持たせるには、成形時に金属を金型内にセットし成形する、インサート成形をしますこの時のボス形状について、樹脂と金属の熱膨張係数の違いによりクラックが発生しやすくなるので注意が必要です。以下にクラックが発生しずらい寸法関係を示します。

インサート成形

BD≧2HD
T>t
T1=0.8T
0.3≦R1≦0.7
R2=1/2HD

インサート金具については外周にローレットを加工すると応力集中が発生するので、ローレットではなくDカットなどのまわり止め加工を施す。

成形条件の設定

実際に成形を行うときは、成形条件の設定が必要で、この設定が不適当であると成形品に下記の様な不良が発生する。

①バリ
過充填、型締め力不足が原因
②ショートショット
充填圧力不足、製品形状が薄すぎ
③ヒケ
偏肉による収縮不良
④ボイド
ガス抜き不足(内部に気泡が発生)
⑤ウェルドライン
ランナー、ゲート位置不良
⑥フローマーク
流動性が悪い(高粘性)
⑦シルバーストリーク
樹脂材料の乾燥不足

この様な不具合が発生したときは成形条件を、カットアンドトライで調整する。

まとめ

樹脂成形の良否は部品設計(形状設計)はもちろん、金型の設計にも大きく左右されるので、部品設計の段階から金型設計者と打合せを行い、最適の形状、最適な金型構造を目指すことが重要です。

 

 

 

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